ハワイを愛するものにとって、ヒーローと呼ばれる人たちがいる。
デューク・カハナモク、エディ・アイカウ、ギャビー・パヒヌイ、イズラエル・カマカヴィヴァオレ、レラ・サン。
彼ら、そして彼女たちは海と音楽を通じて今もハワイアンの心の中に生きている。
最高のサーファー、最高のミュージシャン。
日本人はすぐにこのようなカテゴリーを作り、その括りのなかでヒーローやヒロインと呼ぶだろう。
でも、ハワイアンは違う。
同胞として、その中心に必ずあるのが「アロハスピリッツ」である。
彼らの全てを受け入れ尊敬する、いや尊敬しあう。
これがハワイアンにとって最も大切な「アロハスピリッツ」である。
何かをしたから偉い、だから尊敬するのではない。
同じ島に生まれ、分かち合い、その中で特に輝きを見せたものがヒーローになる。
何をしたかが問題ではなく、彼らの生き方そのものがアロハの精神であり、ゆえにヒーローと呼ばれる。
アロハという言葉には、挙げていったらきりがないほど色々な意味がある。
アロハという単語に様々な単語が続いて更に意味は広がっていく。
ハワイアンのいうアロハの精神は、我々の理解を超えるところにあるのだろう。
ハワイの主要なビーチには必ずライフガードがいる。
彼らもまた「アロハスピリッツ」をもった、ハワイには欠かせない存在である。
海で遊ぶハワイアン・キッズにとって憧れの存在であり、大切な存在だ。
海の知識や怖さを知らない、日本人観光客にとっても大切な存在である。
海での擦り傷や、切り傷は放っておくと後で痛い目に遭う。
ちょっとした怪我でも近くにいるライフガードにいえば、応急処置を施してくれる。
サーフィンをする人は、初めて入るポイントの場合必ずライフガードに一声かけてみよう。
彼らの判断はかなり適切だ。
ボードを抱えて海へ向かう姿を見ただけで、それが初心者かそうでないかを見極めてしまう。
波の高い時にカッコつけて入ろうとしていれば「ヘイ!そこの初心者」なんて注意されるのがオチである。
彼らは強くたくましく、そして心優しきウォーター・マンである。
日本では見慣れない彼らの存在は、いざという時にそれが誰であろうと命をかけて助けてくれるのである。
リスクを承知でこの職業を選んだ、やはり彼らもアロハの精神をもってはハワイの海を守っているのだ。
アロハエクスプレスNO.46(1998年10月25日発行)「杉山清貴の楽園倶楽部」より